睡眠外来

概要紹介

健康を維持するために必要な要素に睡眠がありますが、自分の睡眠に満足している人は3割程度に留まるという報告があります。その悩みは「眠れない」「日中眠い」「朝起きできない」「長く寝すぎる」「寝ぼけがひどい」などさまざまです。

当院では、患者様の個別の状態にあわせて対応できるよう、睡眠専門医と専門検査技師を中心にチームとして医療を提供しています。当院は日本睡眠学会から認定された熊本県で唯一の睡眠学会専門医療機関です。睡眠の質、無呼吸の程度、睡眠中の覚醒刺激の頻度など睡眠全般を評価するための検査である睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)や、日中の眠気を客観的に評価する反復睡眠潜時検査(以下MSLT)を適宜行い、睡眠状態の詳細な評価を行い、最適な治療プランを提案し、患者様と協力して治療を行います。

良質な睡眠は、体と心の健康に直結します。睡眠に関する問題を抱えている場合、当院の睡眠外来にお気軽にご相談ください。

診療体制

※下図は画面に収まらない場合、
左右にスライドしてご覧いただけます。

午前 福原/
財津
池上/
非常勤医師
(第1・第3)
池上/福原
/財津
午後 池上
(夜診)
福原
担当医師紹介

池上あずさ(日本睡眠学会認定医)

福原 明 (日本睡眠学会認定医)

財津 翔

  • 池上あずさのイラスト 池上 あずさ
  • 福原明のイラスト 福原 明
  • 財津翔のイラスト 財津 翔
診療内容

●  睡眠時無呼吸症候群

病態:睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止する疾患で、酸素供給不足を引き起こします。体重過多や扁桃肥大などによる気道の閉塞が主な原因です。

検査:PSG検査を行い、重症度を評価し、治療法を検討します。

治療法:持続陽圧呼吸器(以下CPAP)の使用、マウスピースなど歯科的治療、外科的処置などの治療法が選択されます。

●  不眠症

病態:不眠症は、入眠困難、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早朝覚醒などの症状を伴う睡眠障害です。

検査:不眠症の診断は臨床症状と睡眠日誌などに基づきます。

治療法:睡眠衛生指導、認知行動療法、薬物療法など。

●  過眠症

病態:過眠症は、睡眠時間を確保しているにも関わらず日中に過度の眠気を経験する疾患で、通常の生活に支障をきたします。

検査:PSGおよびMSLTを行い、睡眠日誌による睡眠時間の評価も行います。

治療法:薬物療法やライフスタイルの調整を行います。

●  レストレスレッグズ(むずむず脚)症候群

病態:レストレスレッグズ症候群は、下肢に不快な感覚(むずむず感、熱感など)を引き起こす疾患です。これにより、主に寝付く前に不快な脚の感覚が生じ、不眠の原因となることがあります。

検査:通常、臨床的症状に基づいて診断されます。採血により鉄の低下を認めることがあります。また、PSGで下肢が周期的にピクつく状態(周期性下肢運動障害)を認めることがあります。

治療法:薬物療法、ライフスタイルの調整など。鉄欠乏がある場合は鉄剤投与を行うことがあります。

●  レム睡眠行動障害

病態:レム睡眠行動障害は、睡眠中に異常な行動を示す疾患で、通常は夢の中での興奮が原因です。異常行動の最中に容易に覚醒させることができ、その時見ていた夢の内容を容易に想起できるのが特徴です。また、パーキンソン病やレビー小体型認知症などの症状の一つとしてレム睡眠行動障害を認めることがあります。

検査:典型的な臨床症状のみで診断できますが、PSGでREM睡眠時の筋電図上昇を認めることは参考になります。

治療法:レム睡眠行動障害の治療には、安全対策(寝室の危険物の取り扱い)、薬物療法が主になります。パーキンソン病やレビー小体型認知症を疑う場合は専門医療機関に紹介することがあります。

●  睡眠覚醒相後退症候群

病態:睡眠覚醒リズムが通常の睡眠パターンよりも後退した疾患で、通常の社会生活(おもには学生生活)を送るのに支障が生じています。

検査:睡眠日誌による睡眠パターンのモニタリングや各種質問紙表による評価を行います。

治療法:睡眠衛生指導、認知行動療法、高照度光療法、薬物療法などを行いますが、回復が困難な場合は入院療法を行うこともあります。

そのほか、睡眠に問題を抱えておられている場合は、まず当院睡眠センターまでご相談ください。

診察の流れ

かならずご予約が必要です。下記の専用ダイヤルにご連絡ください。

受付後に、問診票や各種質問紙票にお答えいただきます。また、身長や体重の測定もしていただきます。その後に診察になります。

診察後に同日の検査を指示されることがあります。また睡眠の検査(PSGやMSLT)を行う場合は、検査日の予約を行います。

疾患によっては睡眠パターンをモニタリングすることが診断や治療に有益な情報となります。そのため睡眠日誌を付けていただくことをお勧めしています。下記から睡眠日誌をダウンロードし、記入した睡眠日誌をご持参ください。

睡眠日誌(ダウンロードはこちらから)

睡眠検査について

睡眠検査についてはこちら

予約方法

下記の専用ダイヤル、もしくは予約フォームよりご予約をお願いします。

専用ダイヤル 096-381-3378

電話対応可能な時間帯 月曜~金曜 9:00~16:45(12:30~13:30除く)

よくある質問(FAQ)

Q1. 睡眠時無呼吸症候群の治療には、どんなものがありますか?

  • (1) CPAPという機器で鼻から陽圧の空気を送り込んで上気道を開く方法
  • (2) マウスピースで下あごを前に出すように固定して気道を開く方法
  • (3) 扁桃腺肥大やアデノイドが原因の場合は、外科的手術
  • (4) 減量

などがありますが、無呼吸が起こる原因や気道の閉塞部位、重症度などで、どの方法を選ぶかが異なってきます。

Q2. 小児にも睡眠時無呼吸症候群は起こりますか?

小さいお子さんでも、扁桃肥大などが原因で、無呼吸が起こることがあります。成長に影響を与えることがありますので、いびきが激しい場合や、睡眠中に息を吸うときに胸郭が凹む(陥没呼吸)場合などはご相談ください。

Q3. SASの初診外来は、どんな内容でどのくらいの時間がかかりますか?

医師の診察を受けたあと、鼻腔通気度検査やレントゲン検査(頭頸側部)を行った後に疾患や治療の説明を行います。精査が必要な方はPSG検査入院を予約します。初診時は終了までおおよそ2時間ほどかかります。

Q4. 睡眠呼吸障害の診断検査の費用はどれくらいですか?

PSG検査は一泊入院(18:30~8:00)で、費用は1割負担で約11,000円、3割負担で約31,000円程度です。MSLT検査は一泊入院(18:30~翌日18時前まで)で、費用は1割負担で約12,000円程度、3割負担で約35,000円程度です。簡易検査(HSAT)では、3割負担で約3,000円となります。

なお、当院では差額ベッド料はいただいておりません。

検査入院時に車でお越しの方には駐車場料金500円(税込)をいただいております。

なお、費用は2024年1月現在のものです。

Q5. SASの治療費用(通院費用)はどのくらいかかりますか?

CPAPは保険適用でき1ヵ月あたり1割負担で1,600円、3割負担で5,000円程度となります。

定期的に受診をしていただく必要があります。

マウスピースは歯科にて作成します。費用は3割負担の方でおおよそ20,000円程度かかります。

耳鼻科的手術は閉塞部位によっては効果がない場合があり、数年後に再発する場合もあります。

Q6. CPAPはいつまでしなければならないのですか?

CPAPは使用する事で気道を拡げています。その為、治療をやめてしまえば元の通り無呼吸が起こってしまいます。一般的には毎日CPAPを使っていただくのが一番効果的ですが大幅な減量に成功された場合、無呼吸が少なくなりCPAPを使わなくてもよくなる場合があります。

Q7. いびきはなく、日中眠いのですが直ぐにお薬は出してもらえますか?

特発性過眠症やナルコレプシーの疑いがある場合、すぐに眠気を抑える薬は出せません。

PSGやMSLT検査等の診断検査をして診断がつくまでは処方できません。

Q8. 睡眠時間は4~5時間とっていますが、日中の眠気が取れません。

年齢や個人差によりますが、中高生のかたではおおよそ8時間の睡眠が推奨されています。平日と休日の睡眠時間に差がでる場合(例:平日5時間、休日8時間以上の睡眠)は、睡眠不足が原因として最も考えられるため、睡眠時間を多くとるようにしてください。

また、睡眠不足の解消には時間がかかります。目安として1ヶ月程度推奨される睡眠時間を確保していただき、それでも日中の眠気が改善されない場合は、病的な眠気の疑いがありますので当院睡眠外来にご相談ください(現在ご予約が多く、お待たせする場合がございます)。

Q9. 日中に強い眠気があり、学業や仕事に支障があるのですがどうすればよいでしょうか?

まずは睡眠日誌をつけ、自分の睡眠時間とリズムを確認してください。睡眠時間が短い、あるいはリズムが乱れている場合は、睡眠時間を十分にとるように、また入眠時刻の変動と起床時刻の変動が平日も休日も1時間以内にとどまるように生活全体を見直してください。慢性的な睡眠不足が長期間続いている場合、睡眠不足の解消には1ヶ月以上かかると言われています。十分な睡眠時間をとり、リズムも整っている睡眠を1ヶ月以上続けても症状が改善しない場合は病的な眠気の可能性が高いですので、当院睡眠外来にご相談ください(現在ご予約が多く、お待たせする場合がございます)。

Q10. 睡眠剤を飲むと認知症になるといわれたのですが本当でしょうか?

この質問に対する明確な答えは出ていません。一般的には睡眠剤の使用が認知症のリスクに対してどのように影響するかは個人によって異なります。医師の指導に従い、適切に処方された睡眠剤を使用することが重要と考えます。その上で健康的な生活習慣を維持することが、認知症予防に役立つものと考えます。